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天井にタイマー - ヘッドライナーの断熱防音材

以前 ヘッドライナーが落っこちてきたのが2003年8月のこと。そのうちやる気と金があったら…なんて言ってるうちにずいぶんと時間が経ってしまった。正確に言うとやる気になったのが2008年の8月。これを書いてるのがさらに作業してから8ヶ月後というわけで、スローな状況でなんとも恐縮な限りです。

件のヘッドライナーはアフターマーケットのもので、裏側は3mmくらいのスポンジが貼られていた。これが薄いのかどうなのかは純正品なりを見たことがないので判断ができないのだけど、少なくとも落っこちてきたくらいなので接着状態はよろしくなく、天井の鉄板を隠していた以外には大した役目は果たしてはいなそうだった。本来ならもう少しクオリティの高いヘッドライナーを仕入れて交換するところなんだろうけど、それなりに値段が張るものだし手を出しにくい。そこでこれまでのビニールの部分を流用して工作しようと思った。

どんな素材を使うが良いのか。防音材・断熱材で調べていくと面白い素材が見つかって、もうこれしかないと思った。その素材は、ヘンプ(hemp)。平たく言えばこのところ世間を騒がせているあれの親戚。と言うか、ある意味、そのものだ。もちろんこちらは合法品なので、火を付けても面白いことは何も起こらない。建築資材として売られているものなので、小さい面積でも売ってもらえるのか、どんな代物なのかも分からなかったので、取り扱っている会社に連絡を取ってみたところ、カットサンプルを送ってもらえた。

hemp sample 右の少し厚手のものが断熱材としてもっぱら建築資材として使われるテルモハンフ(ドイツ語で書くとhempはhanfのようだ)。そして左の2枚が「ヘンプファイバーを固めてマット状にした」ハンフフリース。こちらはドイツでは自動車の内装としても一般的に使われているのだという。こいつはますますぴったりな素材だということが分かった。フリースは厚さが3mm5mm10mmと3種類あるのだが、在庫の関係で2種類のみを送っていただいた。

選択肢がいくつかあると言うことでどれにするか判断がつかず、ちょっと保留としたのが運の尽きで、実際に注文したのはサンプルを送っていただいてから2年後になってしまった。だけど、2年後、以前サンプルを送っていただいた者ですが…と連絡を取ったところ「ワーゲンの方でしたよね?」と覚えていてくださったのは嬉しかった。

hemp box sticker hemp なるべく厚い方が効果が高いのか、あるいはモコモコして不自然になってしまうのか…。悩んだあげく、5mmのハンフフリースを注文することにした。ちょっと薄すぎたかな、と思っていたのだが、届いたブツはサンプルよりもフカフカしていて、逆にちょうど良かったかもしれない。大幅に余裕を持って、厚さ5mm×幅1m×2mで注文した(約2500円なり)。

hemp headliner 効果や作業のしやすさを考えると、おそらく天井のジャストサイズにする必要もないんだろうけど、こちらは素人なので、なるべくぎりぎりになるサイズで行くことにした。これをボンド社のG17(速乾強力 合成ゴム・皮革・金属・硬質プラスチック・木)を天井に塗りつけて貼った。隙間だらけの物体だしこの接着剤でうまく着くのか怪しいところだったが、程良い感じで着いてくれた。天井全面に接着剤を塗ろうとすると最初に塗った部分が乾き過ぎてしまいそうだったので、これまでヘッドライナー押さえに使っていた竹で支えながら、接着剤を塗っては乾かし、そして貼り付け、を繰り返していった。

接着剤は使いかけの物と新しいもの2本にまたがってしまったので正確な量は分からないけれど、おそらく大きなサイズ(170ml)1本は使ったと思う。上向きだし垂れてこないように接着剤を塗るのはなかなか大変だった。こういう時はスプレー式を使った方が楽できれいに塗布できるのだろうけど、余計な部分に接着剤が掛からないようにマスキングやら養生する方が手間だし吸い込むのも嫌なので、チューブ式の液体でいくことにした。

ハンフフリースを貼って、元々のビニールのカバーをあてがい、これまで同様竹の棒で支える。フリースは天井に接着剤でついているけど、カバーとフリースは接着していない。というわけで一通り作業が終了。早速テストをしてみた。窓を全部閉めて、ルーフの真上から水が落ちるようにホースで放水してもらう。すると、これまではトタンを叩くような騒々しさだったのが、反響音が無くなってコンクリートや分厚い木を叩いているような実に静かな音に変わっていた。これだよ、これ。普通の車の当たり前の状態になっただけのことなんだろうけど、想像してたとおりの効果が現れてくれたのはうれしかった。

もうひとつの断熱に関しては、たぶんこちらも効果が現れているんじゃないかと思う。これまでは頭の上に鉄板が一枚あっただけのようなもので、夏場は鉄板の熱がそのまま室内を熱していたはずだからだ。2008年の夏は何となく過ごしやすかった気がしたのはこのせいだったのかもしれない。天井に接着剤を塗りたくったので、しばらくは窓を閉め切っていると室内に接着剤の臭いが激しかったが、1週間もすれば慣れちゃったのか気にならなくなった。扉が閉まるようなガレージなら窓を開けっ放しにして放っておけるんだろうけど、青空駐車場ではそういうわけにもいかないからなぁ。

なお、今回お世話になったのは「エルデ・フェアバント テルモハンフ事業部」さん。→ http://www.erde.jp/thermohanf.htm ヘンプは自然素材なので、みんなでどんどん使いましょう。

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