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ホイルシリンダーOH

40km/hを越えたあたりから、路線バスが走っているような音がするようになってきた。それに加えて、これまでのやり方ではフロントのハブ・ベアリングを締め付け過ぎていたことを思わせる書き込みをネットで見つけたこともあって、2006年の大晦日、その年最後のビートル弄りをすることにした。ベアリングのチェックをして、グリスのリパックでもして締め付けトルクを調整するという、ほんのちょっとで終わるはずだった。ところが事態は途中から別の方向へ。結果的に後回しになったベアリングの交換については、後日別のページを作ることにします。

シューが外れた状態のホイルシリンダーを見ていたら、ピストンの先の汚れが気になった。折角だから掃除をしようと思い、液漏れを起こしていないかダストキャップもめくってみて、ついでだから丸々はずしてみた。ピストンは拭こうとするとくるくる回るし、軽く引っ張ってみたらするりと抜けてくれた。抜けるならそちらの方が掃除がしやすいので、反対側も抜いてみことに。ところがこちら側はピストンは回る気配はないし引っ張っても出てこようとしないのだ。少し力を入れてぐりぐりしてみると、スポン!と、ピストンと奥のラバーカップが一緒に抜けてしまった。やっちまった。エア噛んじゃった。その時点では僕は、ひとりでブレーキのエア抜きをする方法は知らなかったし、そもそもベアリングをちょっと確認するだけのつもりだったので、日暮れまであまり時間も残っていなかった。2006年の締めくくりにしては大したドタバタだが、しかたがないので、その日はとりあえず走れるところまで復元して(止まれるまでの復元はできない…)、数百メートル先の駐車場まで、制動はハンドブレーキのみの状態で走りおしまいにした。

これまで、ブレーキはちゃんと効くし、漏れもないようなのでホイルシリンダーには手を付けてこなかった。それに上にも書いた通り、ひとりエア抜きの方法を知らなかったので、エア抜きが絡む作業は何となく敬遠していたというのもある。例によって「そろそろ見といた方がいいんじゃない?」とビートルに催促でもされたんだろうか。ピストンが抜けた時ホイルシリンダーの中を見てみたら、これが結構汚れていて、見なかったことにしてエア抜きしておしまいというわけにもいかなそうだ。フロントがこんな感じだったということは、リアもきっと同じはず…。しょうがない。ホイルシリンダーを4つともオーバーホウルだ。ちょうどブレーキフルードの入れ替えをした方が良い時期だし、4輪のエア抜きのついでやってしまおう。

情緒もへったくれもなく、翌日からすぐに作業を始めたかったけど、気がついたら僕はフレアレンチを持っていなかった。以前ブレーキホースをやった時に使ったのはT氏のだった。普通のスパナでもできなくはないだろうけど、失敗してナットの頭をなめちゃうと面倒なことになる。余談だけど、オープンスパナは、緩める一発めや締め込む最後に使う工具ではない。すでに緩んでいるナットとかを回すもので、力が掛かる時に使ってはいけないのだ。どうにも失敗してるところしか想像できなかったので、やっぱりきちんとした工具を使うことにした。ブレーキフルードも総とっかえとなるとストックしてる分では足りない。もっと言うと、最悪ホイルシリンダーのどれかが使用限界に来てれば交換しなくちゃいけなくなる。こうなると、年末年始は作業するには最悪のタイミングだった。工具屋のストレートもバイクパーツのナップスも3日くらいまでは正月休み。2日に近所のホームセンターが開いたので行ってみたが、さすがにフレアレンチまでは置いてなかった。というわけで、3日まで作業は丸ごとお預けになってしまった。


flare wrenches 待望の3日になってストレート港北店に行く。今年もよろしくね、おじさん。買ったのは17-19、12-14、11-13のフレアレンチ。10-12のは持ってたけど、VWの作業には使えなかった、はず。どれがどれ用だったか忘れちゃったけど、上の3本が無いと作業ができなかったはず。ソケットレンチの先に付けるクロウフットという工具もあって、こちらはフレアレンチよりも値段も安めでいろいろなサイズが1セット買えそうだったけど、狭いところでの使い勝手が悪そうな気がして普通のフレアレンチにしておいた。

wheel cylinder parts ホイルシリンダーをバラバラにしたところ。実にシンプルな構造だ。作業が終わった時に気がついたことだけど、本来これだけのものが中に入っていて、さらに中央のスプリングが外側に押し出そうとしているので、ホイルシリンダーの状態が良くてラバーカップも自由に動く状態なら、外側のダストキャップを外した時点でピストンが飛び出てこないとおかしい。OH後のホイルシリンダーは、飛び出ようとするピストンを押さえておくのに苦労したほどだった。

dirty cylider ダストキャップを外してもピストンが出て来なかった理由はこれ。ホイルシリンダーの内側はドロドロで、ラバーカップがいつも動いていると思われるところには黒い筋もついているし、動きも渋くなっていたはずだ。そう言えば、最近、ブレーキを踏んだ時に違和感を感じることがあったけど、このせいだったのかも知れない。

ストレートにはホーニングするツールがあったが、値段もそれなりだったしVWのホイルシリンダーにはサイズが微妙に合わなかったので、ホームセンターで丸形のブラシ(コンデンサーブラシというらしい)と固めの歯ブラシを買い、ゴシゴシ掃除をしてみた。それでも落とせない部分は、細かい目のサンドペーパーで軽く擦ってみた。本来なら、ヤスリを使わないと落ちないような汚れがある場合には交換するのがセオリーだそうです。本体の金属部分は良いとして、ラバーパーツの掃除には、マニュアルに書いてある通りブレーキフルードを使った。そもそもブレーキフルードに浸かっているパーツなのだから、ブレーキフルードで冒される心配はないということらしい。ただブレーキフルードってやつは塗装を溶かしたり、ほんとにたちが悪いもんだから、非常に気を使う。手にちょっとでも付いてる状態でボディでも触ろうものなら、後日塗装がなくなってしまう。

use rubber grease 納得がいくだけ汚れを落とした後、ラバーパーツはラバーグリースをまぶしてから組み付けた。どうせあっという間にブレーキフルードまみれになるわけだけど、乾いた状態で組み付けないための処置なんだろう。

wheel cylider installed そんでもって組み上げたオーバーホウル済みのホイルシリンダー。内部は完璧に綺麗になったとは言い難いけど、これまでと比べれば雲泥の差だ。前オーナーによると、売りに出す際にホイルシリンダーは新品に交換したとのことなので、約4年であそこまで汚れてしまったことになる。ブレーキフルードの交換をちゃんとやったりすればまた話は別かも知れないけど、今後も注意しておかなきゃいけない部分だろう。ホイルシリンダーがあれだけ汚れてたということは、マスターシリンダーも似たようなことになっているはずだけど、今回は放置。手が入りにくそうなのでちょっと億劫なのだ…。

実はこの後、ワンマンブリーダーなるものを作ってエア抜きをしようと思ったけど、どうも思うように機能してくれなかった。もっと単純に注射器を使って吸い出してみてもエア噛みまくりと、まったくお手上げ状態なのだ。最終的にひとりエア抜きはひとまず諦めて、通常のふたりエア抜きをして作業を終わらせることにした。結局お正月の3日間、OHやらエア抜きやらで連日ブレーキフルードにまみれることになり、しばらくブレーキフルードの匂いを嗅ぎたくなくなった。というわけで、これを書いてるのはもう5月になろうとしてるけど、ワンマンブリーダーの製作も放置となっているのでございます。

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