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ポップアウトウィンドウをつける

エアコンのついてないビートルにとって、夏場に威力を発揮するのが三角窓とポップアウトウィンドウです。三角窓は標準でついているので良いとして、ポップアウトはオプション仕様だったためか、ついていない個体も多く、僕のビートルもついていませんでした。以前乗っていたスバル360は、おそらく標準と思われるポップアウトがついていて、これを開けて走ると風が勢いよく後ろに通り過ぎていくのを感じて気持ちが良かった。ビートルにもポップアウトをつければ、さぞかし心地良いだろうとはずっと思っていたのでした。ところがこれ、リプロでも結構な価格帯で気軽に手を出せるような代物ではなかったのです。

それが以前行ったイベントで「片側1枚なので格安で」という中古を見つけました。本当は買う気は無く、ただ見てただけだったんですが、学生さんらしき売り手の熱意と値引きに負け、買ってしまったのでした。1枚買ったからには、いずれもう1枚も手に入れなきゃいけないわけで、今から思うとちょっと無謀な買い物だったかな。もう片方の1枚だけが都合よく売りに出されるなんてことは無かったかもしれないわけですから。ところが後日幸運なことに、片側だけでも良いと売ってくださる方が現れ、晴れて左右を揃えることができたのでした。この人から左右セットで買えば話は早かった、と思ったのは後の祭りです。

とはいえ、左・右共にフレームとガラスの間に挟んであるラバーやラッチ部のパッキンは劣化していて、雨が漏る可能性があるとのこと。雨漏りしなくてもひび割れが目立ちボロボロ感は否めない。そしてこのラバー、ちょっとやそっとでははめ込むことはできず「しかるべき木枠などを用意しないと無理でしょうね」という難作業とのこと。本体は格安で手に入れられたわけだしラバーの交換はプロにお願いすることにし、それまでもピンポイントでお世話になってきたVW WERK(ファーヴェスヴェルク)さんに作業を依頼することにしました。「片側はフレームが若干歪んでいたので苦労した」とのことなれど、数日して無事ラバー交換され、各部磨き上げられたセットが返ってきたのでした。


取り付け

元々ついている固定のクォーターウィンドウは、どうせ次につけ直すことがあったとしてもラバーの使い回ししないだろうから、内側のリップをカッターで切って外しました。外すのは本題ではないので、あまり時間をかけたくなかったのです。しかし何らかの理由でポップアウトをつけられない事態に陥った場合、元には戻せないということでもあります。

dimple for hinge hinge hole drilled out センターピラーには5個窪みがあって、ここにポップアウトのヒンジ部を取り付けます。この部分は普段はウィンドウラバーで隠れているので、スタンダードも含め全車こうなっているのでしょう。窪みに合わせてドリルで穴を開ければ準備完了です。念のため塗料を塗っただけですが錆止めもしておきました。

hinge and plate 取り付け後の上の部分を反対側から見たところ。5つの穴のうち3つがヒンジ用、2つはヒンジカバーの固定用です。写真ではカバーは外してあります。ヒンジはS字をしていて、プレートを間に挟んでボディに固定します。可動部が特にあるわけじゃなく、金属のたわみを使って開閉する仕組みです。

no hole for latch 後部のラッチ部分取り付けは、スタンダードタイプではやっかいな問題があります。デラックスタイプはポップアウト取り付け用の穴が内装の下にすでに開いているそうですが、内装がほとんどなく問題の部分も金属丸出しのスタンダードは穴が開いてないのです。印はついている、という噂もありますが、オリジナルの塗装ではないし、仮にあったとしてもすでに見えなくなっています。ひょっとしたら何か出てくるかと塗装を削ってみましたが、印も窪みも何も見つけられませんでした(後ろの方のポッチはリアシートベルトのアンカー用です)。

ボディに穴を開けるのは度胸が要るし、微妙にズレてしまうと修正できなくなるので、位置決めには神経を使います。ラッチはボディに沿った形で取り付け部が湾曲はしているものの、多少位置がズレても収まってしまう感じです。ガラス側のアンカーもくるくる回ってしまうので、ここだといういう位置がなかなか出せませんでした。最終的にこんなもんだろう、という位置で穴を開けたわけですが、後から考えてみたら、取り付け位置はたいして悩む必要もなかったようです。

angle of installation ポップアウトはヒンジを基準に開くわけだから、ラッチはイラストの赤線のようにヒンジに対して直角になっているのが正しいのでは?取り付け作業に入る前に、あらかじめ直角の位置をマーキングしておけばいいのかもしれない。ただし、ヒンジ部はよくある蝶つがいのような仕組みではなくゆる〜く繋がっているので、ラッチの向きが合っているだけでは、全体が斜めについてしまう可能性はあります。

sealing contact area もうひとつ僕はポップアウトウィンドウについて大きな勘違をしていました。ワンボックスカーの後部座席横についてるようなポップアウトは、ボディ側のラバーとポップアウトするガラスが密着して閉まるようになっています。一方ビートルのポップアウトは、通常のウィンドウ+ラバーを外した後、ボディ側にピンチウェルトという一種のゴムを付けるわけですが、これとウィンドウ側が密着することで雨風を防ぐようにはできていないということです(図中のB)。実際に密閉するのは図中のAの部分、ポップアウトの外側に出ているウィングのようなラバーで、これがボディに当たることで閉まるようになっているのでした。取り付け時も勘違いしながらでしたから、なかなかピンチウェルトにウィンドウ側がぴったり接触するようにはならず(あたりまえだ…)ラッチの位置の位置決めにさらに悩むことになってしまいました。

ピンチウェルトとウィンドウ側は必ずしも密着していないので、閉まっている時でもウィンドウを外側から押すと少し内側に動きます。これを知らなかったので、ポップアウト装着車の窓を軽く押してみて動くようだと「あぁこれはちゃんと閉まっていないから雨が漏りそうだな」なんて以前は思ってたのでした。

hinge installed そしてついたヒンジ部分。角度がうんぬんは取り付け後に気がついたことで、こんな感じだろう的に付けたためやはり若干角度が違っているようです。写真ではヒンジはボディに直づけしてありますが、力が掛かるところだし塗装がはげそうなので後日ゴムを一枚挟むことにしました。デラックスモデルだと内装が間に入るわけで、直づけは想定してないんじゃないかとも思ったからです。

ピンチウェルトとヒンジのカバーは黒と白と2色ありましたが、黒だと熱くなりそうなので白を選びました。でも白は汚れますね…。ピンチウェルトは表面がでこぼこしているので、汚れを落とすのは厄介です。


ポップアウトウィンドウをつけた感想としては、やはり空気の通りが良くなるので涼しくなり、真夏に閉め切った部屋に帰ってきた時のような不快感はなくなります。僕は後部座席に乗ることはほぼないですが、後ろに座る人の快適度は相当上がっただろうと思います。ただし難点(これは僕も含めて利点と思う人もいるかもしれませんが)は、後ろからの音を拾い集めるように窓が開くので、エンジン側の音はかなり大きく聞こえるようになります。その面では後部座席の快適度は下がったとも言えるかもしれません。あとはいろんな意味で閉め忘れに注意する必要があるということでしょうか。

tie up on fastener lock pin 実は取り付け作業の最中に、ラッチとガラスを留めているファスナーピンの固定用リングが外れてしまいました。このリングはEリングに押し込みやすいように返しがついている特殊なものです。今回は作業中だったのですぐに気がつき、後部座席に落ちてるのを見つけられましたが、ポップアウトを開けて走っている時に外れると、特殊なリングをなくすはウィンドウは外側にバーン!と開くかもしれない。ガラスが割れるかヒンジがもげるか、さらには誰かをビンタするかもしれないわで非常によろしくないです。安全策として、リングの周りを小さめのタイラップで巻くことにしました。

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