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フロアジャッキを直す

数年ぶりの書き込みです。当初の勢いは無くなったかも知れませんが、新たな記事を書き込まなかった一番の原因は、その後ビートルに何も問題がでないからであります。と、そんなことを書くと何か起こってしまうんでしょうか。

今回は番外で、道具の修理編です。

久々にブレーキの遊びを調整しようとジャッキを掛けてポンピングするも、ちっともアームが上がらない。ポンプ部分の根本あたりからオイルがどろどろ漏れていたのは前から知っていたので、ついに限界に達したのだと思いました。

僕のフロアジャッキは、VWに車載のジャッキがなかったことから前のオーナーが買い、車の引き渡しの時に一緒に付けてくれたものです。つまり軽く10年以上は使ってきた計算になります。もう寿命かな。この際新しいのを買おうかとネットで探しつつ、試しにジャッキの修理でググってみると、Oリングを交換して直っちゃったケースが数ある事が分かりました。

であるならば、わたくしもやってみようじゃないか。

まず、純正のガスケットがパーツとしてでているのか、メーカーに問い合わせます。しかし我がジャッキは旧モデルで、すでに補修パーツの在庫はないとのこと。仮にあったとしても、ジャッキの使用は危険を伴うものなので、修理を受け付けるのみであってパーツは出さないとの答えでした。つまりは、ここから先はメーカーとしてはお勧めしないユーザーによる勝手な修理であることを承知しておいて下さい。と言うか、勝手な修理は今に始まったことではないですが。

jack disassembled まずはバラす。ピストンに繋がっているブラケット(棒を突っ込むところ)は再利用可能な割ピンで止まっていたので助かりました。割ピン+シャフトを2本抜けばブラケットが外れて、ピストンの上部が現れます。ピストンは手で引っ張れば抜けるので、こちらを抜けば、恐らくトラブルの原因であろうOリングにたどり着けます。写真ではピストンにOリングが通ってますが、実際にはOリングは本体の溝に入っています。

inside cylinder 小さなドライバーやピックで外す必要があり、暗いしよく見えないしオイルでニュルニュルでなかなか楽しいです。ガスケットと合わさる形でシーリングメタルなる物も入っているので、間違ってこちらを無理矢理引っ張るとアジャパーになると思います。外したOリングは明らかに硬化が進んでいて、シーリング性能はなさそうでした。

jack oil and oil seal 買ってきたジャッキオイルとOリング。オイルはもっと少なくても良かったんだけど、ストレートには1Lボトルしかありませんでした。今のところジャッキ以外に使い道が思い当たらないので、恐らく使い切ることは無いでしょう。Oリングは本来一箱1セットで売られてる物です。たしか内径10mmのものだったと思います。並べてみるとこれはもう同一と言って良いサイズです。

oil filler plug オイルの注入口はシリンダーの胴体にあるポッチ。このメーカーのはゴムのキャップでした。本体同様赤く塗られていて触ると塗料がはげてきたので、外す前に一通りはがしてゴミが入らないようにしました。

2カ所を開けた状態でジャッキをひっくり返し、古いオイルを流し出します。と、ここで重大なミスをしてたんだけど、そのことに気がつくのはずっと後のことでした。

Oリングにオイルをまぶして所定の場所に入れる。元々入っていた順番通り(実は確実にこの順番だったかどうかは怪しいです)、外側にシーリングメタル、内側にOリングが入るようにしました。ピストンを入れてみるとキツすぎず緩すぎずで、しっかりシーリングしてくれそうです。

オイル注入口からオイルを入れて、同じくネットで仕入れたエア抜き(1)と強制循環(2)をして、作業は完了のはずでした。ところがピストンをいくら上下させても一向にアームが上がる気配がない。これはエアを噛んでるせいだべ、とエア抜きを繰り返すもピストンは一切の抵抗なく下がる状態で圧力が高まっているようには思えませんでした。

やっぱり素人が修理するのは無理だったのかしら。リリースバルブを完全に外してポンピングしてみたり、諦めて作業を終え手を洗っているときにひらめいてまた作業をやり直したり…。あれこれやってみましたが、どうにもなりません。

他の人はどうしていとも簡単にエア抜きができるのか。現時点の症状としては、ポンピングしてもピストンは何ら抵抗感が無くアームが一切上がらないこと、強制循環を行うと、アームが下がるときにピストンが押し上げられる、のふたつでした。

調べていくうちに、油圧ジャッキの基本原理を表しているページに、内部構造が分かる図が載っていて、ピストンが押し下げるオイルの下には、出て行く経路と戻ってくる経路の2カ所にスチールボールが入っていることが分かりました。となればこのボールが固着しているのか。改めて分解し、シリンダーの中のオイルを吸い取ってドライバーを突っ込んでみると、、、ボールが入っていませんでした…。どうやら本体をひっくり返してオイルを出したときにボールも一緒に出てしまったようです。なるほど二日目にやった作業の時のゴミを開けてみると、ぼろ切れの中から直径5mmほどのスチールボールが出てきました。なんという…。ゴミを出す日を挟さんでいなくて助かりました。

ボールを拭いて中に入れ、ピストンを入れて、オイルを足し、アダプターを付けない状態でポンピングしてみると、いつもの手応えが復活し、ポンピングと共にアームが上がってきたのでした。

その後2-3度エア抜きをし、各パーツを元に戻すと、ジャッキは見事に復活。試行錯誤でオイルを結構垂らし隅々まで拭いたので、ピカピカで美しく生まれ変わりました。ジャッキが壊れてどうすんじゃいっ、と蹴りを入れたことはどうか許して下さい。 オイルを捨てる際、ボールが出てくるつもりではなかったし、仮に出てきたとしても特に音もしなかったので、気がつきませんでした。しかし、作業を終えたときにパーツが余っているかどうかは気がつかなきゃだめですね。これだから素人に勝手にジャッキの修理はしてもらいたくないのです。

(1)エア抜き

リリースバルブを緩める
オイルの注入プラグを外す
素早く10回程度ポンピングする
余分なエアは注入口から出て行く

(2)強制循環

リリースバルブを緩める
アームを最高位まで素早く引き上げる
アームが下まで降りたら再び引き上げる、を数回繰り返す
この動作でオイルが強制循環させられ、オイルに含まれるゴミはオイルタンクにあるゴミ撤去ネット収集される

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